michi

サハラ戦車隊のmichiのレビュー・感想・評価

サハラ戦車隊(1943年製作の映画)
-
正直なところ、戦争映画の楽しみ方はよく分からなくて、これもミクロス・ローザ作品じゃなかったら観ることもなかったと思う。
戦車好きとかにはこういうのがたまらないんだろうな。そういう視点が持てなくて残念。

しかしながら、観てみると意外と人間模様がおもしろかった。
ボロ戦車を可愛がる軍曹と仲間の兵士が砂漠で本体からはぐれてしまったところから始まり、撤退命令に従って南下する途中でいろんな仲間や敵を拾ったり失ったり。
いつも感じが悪い印象のハンフリー・ボガードが、仲間をまとめあげる力を持っていて(奇跡も起こせるし)、今回はちょっとかっこいい人に見えた。
戦時中に作られた話だからアメリカのプロパガンダで、偏った描き方なのは仕方ない。ドイツ兵は心無い悪魔のような存在として、イタリア兵はファシズムに洗脳されていない人間らしさを前面に描いていて、彼らの攻防が印象的。

砂漠での戦闘だから、何より水が大切で、水をめぐる駆け引きも興味深かった。水が飲みたくて仕方がない人の前で水を捨てたり入浴を見せつけるのは拷問と同じようなものだったことでしょう。

やっぱり戦争ものは虚しさが残る。実際にあんな風に砂漠で過酷な戦いをして、砂漠で死んでいった人がたくさんいたんだからね。帽子をかけた墓標が出るたびに恐ろしさを感じるとともに悲しくなる。
michi

michi