風に立つライオン

ロアーの風に立つライオンのレビュー・感想・評価

ロアー(1981年製作の映画)
2.0
 1981年制作、ノエル・マーシャル監督によるアニマル・パニック・ホラー・ハートフル・ファミリー・ムービー。
 
 当時監督と夫婦であったティッピー・ヘドレン(ヒッチコックの鳥)とその実の娘のメラニー・グリフィス(ワーキング・ガール)が出ているのと皆さんのレビューに触発され観たくなった。
 監督のノエル・マーシャルはカルフォルニアで多くの猛獣達と共に暮らしている。

 物語は実生活そのままにアフリカに何十頭というライオンやトラ、ヒョウ、チーターなどの猛獣達と放し飼いで暮らす夫を訪ねてきた妻と娘の一行が猛獣達と巻き起こす大騒動を描いたものである。
 恐らく監督は普段可愛がって共に暮らしている動物達と妻が女優であることも手伝って思い出創りの為に撮ってみようと思ったに違いないとにらんでいる。

 それもあるのか物語自体はそれだけの話でいたって深くはない。ストーリーも不自然な展開が多く、レコードで言えば針が飛んだようなところがいくつもあるような塩梅である。
 ただ、CGもない時代に演技もさせていない猛獣達と血だらけになりながらのくんずほぐれつの絡みは唖然の一言である。この映画が価値としてあるとすればただただそこに尽きる。
 映画のキャッチコピーも「これまでで最も危険な映画」はうなずける。
 その一点のみ「野生のエルザ」「クジョー」などの比ではない。マジで大喧嘩している2頭の雄ライオンに割って入るマーシャル氏の感覚はいったいどうなっているのか。普通の人は犬が喧嘩していても仲に入れない。
 全編を通し、これをどういうふうに撮影したのかの思いで口が半開きのままであった。
 序盤、これってホラー!と思っていると途中からコメディーだとわかる。
 ティッピーもメラニーもよくやるなと思ってしまったが考えてみればいつも戯れあっているペット達との撮影なのだ。
 ラストはあれほどパニクってたのにいきなり和気あいあいのファミリーパーティーかよ。

 箸休め程度に動物(特に猫科)好きの御仁はご賞味あれ。