cham

TOKYO!のchamのレビュー・感想・評価

TOKYO!(2008年製作の映画)
4.3
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノという凄いメンバーが東京を舞台に作り上げたオムニバス映画。どれも非現実的な世界観ながらもテーマがすごくリアル。

ミシェル・ゴンドリー作品は、寄生虫扱いされ自分を失っていく女性の姿が空想的に描かれ、ゴンドリー的な世界観が楽しかったけど、どこか物悲しく身につまされる思いで見てしまった。
ポン・ジュノ作品はまるでこの頃から未来を予告していたかのような、どこか今とリンクする世界が広がっている。この頃から大ファンだったけど、蒼井優ちゃんの儚げな存在感が凄い。香川さんは今じゃあまり見られないような寡黙な役で…蒼井優ちゃんに吸い込まれていく男性を演じていて、ポン・ジュノさんに演出されたこの二人がとても魅力的でした。
そして何より個人的にインパクトが凄かったのはカラックス作品のドニ・ラヴァン。映画を観終わってずっとドニ・ラヴァンが頭の中で大暴れしている。
一見、平和で安全だと思っていた東京の日常に突如として地下から現れ、次々とこの国の危うさが暴かれいろんな概念が覆されていく。

名匠たちの豊かな表現力によって丸裸にされているような、過去も今も10年以上たっても何ら変わらない日本をしっかり見られているような気分になりました。公開当時より今見たほうが刺さる作品な気がする。
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