mare

カオス・シチリア物語のmareのレビュー・感想・評価

カオス・シチリア物語(1984年製作の映画)
4.0
タヴィアーニ兄弟が描く自然風景の美しさと奇妙で喜怒哀楽を封じ込めた全5話からなるオムニバス映画でずっと観ていられる恍惚感がある。映像詩表現として非常に上質なものを拝めるし、イタリア映画としては破格の美術センスを感じるこの監督の作風は大好き。それぞれに課せられた宿命、気の重くなるような家族のドラマ、摩訶不思議な現象と狂気、いたずらで人をおちょくるようなユーモア、死の近さと遠さ、幻影と対話しノスタルジックに浮かび上がる息を呑むような追憶と、各エピソードに孕んだカオスが陶酔感と共に絡み合う。総じて人生の重みだけでなく可笑しみも内包したドラマの連続で圧巻の見応えがある。
mare

mare