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黒の試走車(テストカー)のcatmanのレビュー・感想・評価

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)
4.0
1962年公開。競合する自動車メーカー2社が新型スポーツカーの開発を巡ってお互いの情報を盗み出そうとスパイ合戦を繰り広げるノワールテイストのハードボイルド。なんだけど、相手社員を平気で拉致監禁恐喝したりして、やってる事が産業スパイどころか普通に犯罪レベル。しまいには主人公が自分のガールフレンドに、敵方の部長と寝て情報を盗み出して来てくれたら結婚するだなんて言い出す始末。この連中もともと開発課の技術系社員のはずなのに、あまりにもヤバ過ぎて流石に現実味が無い。それでいてラスト大甘なんだから肩透かしを喰らってしまう。
ただ本作の魅力は脚本ではなく映像。殆ど全てのショットで構図と照明がバキバキにキマっていて撮影に対する拘りが凄い。キャティングも良くって、なかでもクセの強い役者達に混じって地味に印象に残るのが主人公の恋人役を演じる叶順子。表情に乏しく決して声を張らない演技は一歩間違えると棒になりそうなところ、退廃的なムードを醸し出していて妙なリアリティが感じられる。

タイトルの「試走車」には「テストカー」とルビがふってあり、ポスターにはBKACK TEST CARの字が小さく踊る。カッコイイねえ
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