TAK44マグナム

サイバー・コマンドーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

サイバー・コマンドー(1996年製作の映画)
2.8
ムチを振るう女王様とキックボクサーが戦う衝撃作!

もっとも多くのチャンピオンタイトルを獲ったとしてギネスブックにも載っているキックボクサー、その名もドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソン!
50歳を過ぎても尚、現役を続ける無敵のキックボクサーが主演した近未来SFバトルアクションです!
ドン・ウィルソンといえば、かつて次世代アクションスターかもしれない・・・と囃し立てられ、場末のレンタル店の棚にポツンと何作品か並んでは消えていったB級アクションで主役を張っていた人物。
やはり彼が主演した近未来モノの「フューチャーキック」(製作がロジャー・コーマン御大)を借りようか借りまいか、小一時間ほど悩んで結局借りなくて正解だったという、どうでもいい記憶を思い出してしまいましたよ(苦笑)。
まあ、この人もルックスからして華やかさの無い人ですからね、主役で大成するのは難しかったのでしょう。

監督のアンドリュー・スティーブンスは、「新トレマーズ/モンゴリアンデスワームの巣窟」など沢山のB級映画の製作で知られる人物で、その非凡すぎて誰もついてこれないセンスを本作でもいかんなく発揮しております。

例によって例のごとく、某所で250円で仕入れた中古DVDですが、もともとがワンコインDVDなのでまったく得した気分にはなれずじまい。

近未来のラスベガス。
ヴァーチャルリアリティ技術の発達により、人々は仮想空間での格闘バトルやセックスを楽しんでいました。
突き詰めれば、人が欲するものは戦いとセックスだけだという、実に高尚な世界観が素晴らしいですね(棒読み)。

何度挑戦しても格闘バトルのレベル10を突破できないクオリー(ドン・ウィルソン)は、現実世界では「グリッドランナー」と呼ばれるベガスの治安を守る警察官。
相棒と共に、凶悪犯を得意のキックでKOしている毎日です。
そんなある日、ヴァーチャル産業の最大手に勤めるクローン工学の博士がとんでもない大発明をしちゃいます。
なんと、コンピュータープログラムをクローン技術によって実体化させる人工生命体の開発に成功しちゃうのであります!
これによって、ホンの数秒でいとも簡単にセックス用の美女クローンが作りだせるとあって、会社の社長さんは大喜び!
とりあえず控え目なタイプと女王様タイプの2体の美女クローンをサンプルとして誕生させ、これを闇市場で大量に売ろうと画策します。
何故か、液体の詰まったタンクから誕生する時に、服やムチ(!!)までもが一緒に出来上がるんですけど、そんな細かいことはお構いなしなのが、こういった映画のお約束でありんす!
そんでもって、何の説明もないままに一緒に格闘バトルのレベル10キャラクターである「ダンテ」も爆誕!
博士をぶち殺し、仲間の格闘キャラたちを実体化させようと、ロスにある中央センターに向かいます。
その途中で、クオリーの相棒の首の骨をゴキッとやって殺害、怒り狂ったクオリーは警察を辞職、たったひとりでダンテを追ってロスへと侵入!
そんでもってここから、美女の一人とクオリーがエッチをしたり、社長が首チョンパになったり、拳銃一丁でヘリが爆発したり・・・と、なんやかんや色々とあって、最後はクオリーとダンテの一騎打ちと相成ります!
ベタな格闘アクションが繰り広げられ、当たり前ですが主人公が悪を倒して、ヨカッタネーの大団円!
ダンテを倒したクオリーの名台詞、「ゲームオーバー!」がキマッてエンディングであります!

・・・あ、気付いたら、あらすじ殆ど書いちゃった!
でも、いいやね、こんなの誰も観ないだろうし!!

なんちゅーかね、とにかく格闘部分の見せ方が平々凡々。
キックがウリなのはわかるけど、ほぼキックの応酬ばかり。
確かに回し蹴りなど様になるけれど、そればかり見せられても・・・と思っていると、少しだけヌンチャクやってみせたり、ソードアクションもあったり。
でも、キックばかりの印象はどうにも拭えません。
ドン・ウィルソンにブルース・リーやらしたいのも伝わってきますが、格が違いますがな(苦笑)。

近未来っぽさも、自動車や携帯端末とかで雰囲気は出していますが、どこからどう見ても安さは隠せません。
仕方ないのも分かるけど、PCの画面やCGがBASICで描いたとしか思えないレベルなのも切なすぎて涙がでちゃう。

というか、世界観の説明が何もないので、グリッドって何?とか、どうしてベガスからロスへ行くだけで違法越境があったり、そうかと思うと普通に電車で行けたりするのか、まったくわかりません!
冒頭で、クオリーがひたすら格ゲーするのを見せるヒマあったら、スターウォーズみたいに文章でもいいから説明してちょーだい!って感じですよ、マジで。

オッパイは必要ということで盛大に披露されますけど作り物っぽいし、セックス用の美女プログラムのくせして格闘も超強かったりして設定がメチャクチャだし、ツッコミどころには困りません!
たまにはこういう系統の映画みて、つっこめないで困ってみたい今日この頃ですよ!
しかーし!
そんな些細なツッコミどころなんてどうでもよくなるほどに、DVDパッケージにドイヒー過ぎて余りある最重要ツッコミポイントが存在しているのです!
そ・れ・は・・・!!
敵であるダンテ役を「K-1ファイターのマイク・ベルナルドが演じている」とバッチリ書いてあるんですが、本作に出演しているのはマイケル・ベルナルドというロン毛のプロ空手家であって、名前が似ているだけの全くの別人なのであります!!
煽り文句にも、「K-1ファイター マイク・ベルナルドの爆裂演技!!」などとデカく書かれていて恥ずかしい!!
容姿からして全然違うじゃねーか!!
これはAmazonの、たった一人の方しか挙げていない本作のレビューでも指摘されている大問題DEATH!!
さすがはワンコインDVD、笑っちゃうほど常識から外れ過ぎてて驚きですなあ!
あと、ドン・ウィルソン版「マトリックス」とか煽り文句が誇らしげに書いてあるけど、ここまでくるとパッケージ詐欺の集大成的作品ですな(苦笑)!

それにしても、ヴァーチャルリアリティだからって、変なヘルメットとスーツ装着して、ぐるんぐるん回転するという、「ヴァーチャルウォーズ」をそのまんまパクった描写は無いんでないの?
ショッパさが目に染みてテレビ画面が見えにくいよ!
・・・って、たんに画質が悪いだけか!!
画面中が真っ赤とか、目に悪いからやめてほしい!

・・・・・でも、全方位でつまらないかと言えば、そんなこともないので100円レンタルなら暇つぶしにアリかもしれませんね。マイク・ベルナルドは出ていないけど!


セルDVDにて