ブタブタ

北京的西瓜(ぺきんのすいか)のブタブタのレビュー・感想・評価

3.5
夜中に起きてTVをつけたら何か知らない映画をやっててそのまま最後まで見るって体験があって、この
『北京的西瓜』もソレにあたる。
八百屋さんと中国人留学生の交流、実話を元にしたハートフルストーリー…だと思ってたら途中でとんでもない事になる。
大林宣彦作品だと可也後になって知って「さもありなん」と納得した。

ネタバレで失礼<(_ _)>

下町の八百屋さん(ベンガル)とそのおカミさん(もたいまさこ)「日本は物価が高くて食べ物に困ってる」という中国人留学生に10円で野菜を売った事を切っ掛けに中国人留学生達が「日本のお父さん」と大挙してこの八百屋さんを頼る様になってしまう。
八百屋さんも、中国人留学生達に頼られて悪い気はせず初めは野菜を安く売る位だったのがどんどんエスカレートし私財を投げ打って迄中国人留学生達を援助し世話をやき困ってる中国人留学生がいれば八百屋をほっぽり出して迄駆け付ける。
この八百屋さん、個人レベルの「日中友好」等という範疇を超えたもはや理解不能な狂気の域に達している。
そこ迄は実話を元にしたお話し。
数年後、中国に戻った留学生達がこの八百屋さん「日本のお父さんお母さん」を北京に招待する。
本当なら嘗ての留学生達との中国での再会で感動のラストになる筈だったのだと。
しかし…
八百屋さん夫婦が飛行機に乗った所で謎の「ホワイトアウト」が起こり画面が真っ白になりそれが37秒も続く。
何と「天安門事件」が起こり北京でのロケが事実上不可能になり、ここで大林宣彦監督は別の場所(日本とか)で撮影する事をよしとせずリアルタイムで起きた「天安門事件」を映画に含める事を決断したと言う。
北京に到着しホテルに泊まっている八百屋さんと思いきや…突然カメラに向かって「皆さんここは北京ではなく日本のホテルです」(えーっ(°Д°))と八百屋さんはベンガルに戻り第四の壁を破ってコチラに話しかけてくる。
『ホーリーマウンテン』のラストに匹敵する衝撃。
しかもこの映画はここで終わらずこの状態でまだ続く。
レビューの殆どがこの「ホワイトアウト」についてスルーしてるのも分かる気がする。
「日中友好、実話を元にしたハートフルストーリー」の部分以外は正直理解不能の実験映画。
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