ナユRA

北京的西瓜(ぺきんのすいか)のナユRAのレビュー・感想・評価

4.0
衝撃的な映画でした。

実話であること。
歴史的事件が映画そのものを変えてしまったこと。

中国人留学生へ50円のチンゲンサイを10円で売った、八百屋の小さな善意から全てが始まる。

「オトウサン、アリガトウ。」と、
頼られる喜びから仕事そっちのけで支援にのめり込み、いつの間にか家庭崩壊していくのは恐ろしかった。もたいまさこさんがどんどんやつれていくんですもの、ホラー作品かと思ったほど。

当時、貧しかった中国から来た留学生は、想像をはるかに超えた熱意で必死に勉学に励んでいたのだろう。その情熱に触れたら、力になりたいと!狂ってまうんやろか。家族を犠牲にしてまでするのは、猛烈に理解できないけど。

これはあくまで人情の美しさ、日中友好の素晴らしさを描いた作品。

「受一滴水恩必将湧水相報」
一滴の水でも人から受けた恩は、湧き水ぐらいにして返す。という中国のことわざが胸に響く。

そして、天安門事件により北京ロケができなくなる事態を、映画のメッセージそのものに変えてしまった大林宣彦監督には感服する。

八百屋のほんわかした雰囲気から想像できない、
37秒の時代の記録と映画製作へ携わった者の熱意が胸に残る衝撃的な映画でした。
ナユRA

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