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復讐者に憐れみをのmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

「別れる決心」に感銘を受け、過去作振り返り中。「JSA」「オールドボーイ」「お嬢さん」あたりはリアタイで見てきたが、「親切なクムジャさん」を見落としていたから気付かなかったのだろうか。パク・チャヌク、狂っている。完全なカルト映画。

次に何が起きるのか、登場人物たちがどう行動するのか、全てにおいて全く予測ができない。悪く言えばむちゃくちゃ。しかし、カット毎の構図や視点には驚きがあり、独特な思考回路に基づくセリフ展開も強度が高く、目が離せない。

話としては、貧乏人が金持ちの子供をさらって身代金を要求する誘拐事件。余っているお金をそのまま渡してくれれば皆んなが幸せになる「良い誘拐」ということで無理筋な計画がスタートするも、不条理な出来事が連続して破局的な結末を迎える...というもの。

見ている感覚としては、ホドロフスキー作品に近いだろうか。映画前半はコメディ色も強いためドラマ「トリック」における茶番のような瞬間も。だからこそ初期作ゆえの脇の演技クオリティが気になる場面も多い。ただ、メインどころ3人、個人的には特に2人(ソン・ガンホとぺ・ドゥナ)がそれを別次元の何かに引き上げている。拷問シーンの凄まじさ...。

ホドロフスキーと違い舞台や登場人物がアジアだからか、北野映画や、押井守のアニメ作品のような感覚すらあった。
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