たりほssk

モンドのたりほsskのレビュー・感想・評価

モンド(1996年製作の映画)
4.0
人の心にはモンドのような部分が絶対に必要だと思う。すなわち、出自や年齢や世間の目にとらわれず、自分自身が美しいと感じるものを、見て、聴いて、そして感動すること。
モンドと、彼と心を通わせる人々が、この美しい心の部分を体現していた。みずみずし映像と音楽がそれをさらに麗しいものにしておりすばらしかった。

社会の網の目に生きるということは、守られていると同時に縛られているということでもある。社会に合わせ過ぎると「モンドの心」はおろそかにされがちだ。しかし、それは生きていく上で絶対に必要なのだ。作品の中でもモンドがいなくなってからは、釣りはうまくいかなくなり、パンは焦げてしまい、歌は歌えなくなってしまった……。

ガトリフ監督は、社会の周縁に生きる人々に焦点を当てることによって、問題を浮かび上がらせている。静かで美しい画面から強いメッセージを感じた。
原作もぜひ読んでみたい。
たりほssk

たりほssk