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砂の女のRIOのレビュー・感想・評価

砂の女(1964年製作の映画)
4.0
流動する砂の動き
絶えざる流動によって
得られる心地よさ

現実のうっとうしさから砂の流れに
身を任せたい衝動にかられる男

ネタバレしてますー

七色に光る虫を求めて行きついた砂丘
そこには部落があった
大きな穴を掘ってその穴に家を建てている
ハチの巣状にある家々

夢中になって虫を探して歩き回っているうちに帰れなくなった男は
穴の中の家に泊めてもらうことに

男は梯子を降りると
家に住む女が迎えていた

朝、男が地上に上がろうと砂の壁を見ると
昨日あったはずの梯子が消えている

アリ地獄に落ちた自分の状況に
ようやく気付いたのだ

何回も脱走を試みるも失敗
誰かが探しに来るかもと希望を持ったりもする
自分の人生をここで終わらせない戦いが
男の心の中で日々、繰り返される

昨日も明日もない
欲望を満たす生活を繰り返す

砂の中で生活する水を求める渇き
1日で人生を失ってしまった
それを取り戻したいという焦り

存在理由を突き付けられる

砂の中でもしっかと生きていくことを
見つけてしまう恐ろしさ
「籠の中の乙女」と被る
何でも与えられて軟弱になり
思考停止していくみたい

安部公房の原作も素晴らしい!
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