彦次郎

さらば愛しき人よの彦次郎のレビュー・感想・評価

さらば愛しき人よ(1987年製作の映画)
3.6
グラサンをかけた裸の男がドスを持って女の背後に立つジャケットから女性を人質にした変態の立て籠もり事件を描いた猟奇サスペンスが想像されますが全然違います。ヤクザの若手幹部シュウジが標的を見逃した事で再会した初恋の女性と愛人に火の粉が降りかかり恋情と激情を募らせていく恋愛アクション。
佐藤浩市演じる木内弟とキムカズ(木村一八)演じる弟分哲夫が旧バージョンのファミリーマートで対峙する場面のYouTube(他にも大地康雄との工場バトルやカチコミで哲夫と話すシーンなどの切り抜き動画もある)が恐らくは有名。「兄ちゃん、チャカとダンビラどっちが強えと思う?極道の喧嘩ではダンビラの方が強えんだよ」(正確には覚えてないけどこんな感じの台詞)と敢えて哲夫でなくコンビニ店員に喉を負傷したボソボソ声で喋った後で「タラっタラタラ〜♪ウサギのダンス♪」と商品を倒しながら向かってくる木内弟の狂気具合は忘れ難いものがあります。手下も焼きそばの袋を破いてクスリをぶちまき間食されるクレイジー具合で本編への予告編として最高でした。
さてその本編ですが豪華俳優陣による演技により印象的な場面も多いですが思った以上に木内弟が出て来ず肩透かしの感が強いのが極めて残念なところ。これは木内弟以外のヒットマンを出した事でブレが生じた為ではないでしょうか(嶋大輔は良かったけど)。更に初恋の女性に入れ上げるあまりラジオのDJになるくせに(理由は勿論あるけど)愛人がいたり等、恋愛もアクションもどことなく浮遊感のようなものを感じてしまいました。
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