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チョコレートと兵隊のIMAOのレビュー・感想・評価

チョコレートと兵隊(1938年製作の映画)
3.3
日中戦争中の日本。ある家族がいる。お父さん(藤原鎌足)とお母さん(沢村貞子)には二人の子供がいて、貧しいながらも慎ましく幸せに生きている。だがある日、父親の元に召集令状が届き、お父さんは戦地に赴くことになる。ある日、戦地にいたお父さんから、集めるとチョコレートがもらえるという包装紙が息子の元に届くのだが…
これは実話をベースにした話らしく、当時の明治製菓の宣伝部が東宝と協力して作った作品だという。確かに当時の世相を反映した所謂「戦意昂揚映画」でもあるだろう。この映画の中で、小さな子供が将来成りたいと望んでいるのは「兵隊さん」だし、日本のその後第二次世界大戦にまで無謀な前進をしてしまった歴史の一端が描かれている。

だが、こうしたことが今日本を遠く離れたどこかでも確実に起こっている。そのことをこの映画を観て思った。沢村貞子がまだ小さい息子に向かって「お父さんが戦死した」と告げる時、そこにある感情は今、世界のどこかでも確実に起きている。
近所の家族の娘役で高峰秀子。とても可愛くて、この人が「デコちゃん」として愛されたのがよくわかる。
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