青野姦太郎

警察官の青野姦太郎のレビュー・感想・評価

警察官(1933年製作の映画)
4.4
警察のPR映画とはいえ、こんなものを見せられたらちょっと正気ではいられないんじゃないか。元同級生のブルジョワ青年(中野英治)を銀行強盗の犯人ではないかと疑って付け回す警察官(小杉勇)の神経症的狂気が延々と円環する尾行シークエンスやビリヤード玉の異様なディゾルブ等によって溜めに溜められた挙句、最終盤の捕物において爆発する。天井から人間を引っこ抜き、畳を盾に大銃撃戦、さらには他人の家の障子を次々とぶち抜きながら家屋を爆走し、サーチライトを猛スピードで掻い潜る疾走感!その合間合間に警察を称える中間字幕が出るのが笑える。(そういえば鈴木重吉の『闇の手品』も本作より少し前の警察PR映画だったが、光と影を効果的に使った児童映画の佳作であった。こちらは『何が彼女をさうさせたか』のDVDの特典付録で視聴可能)