津軽系こけし

ジーパーズ・クリーパーズの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

ジーパーズ・クリーパーズ(2001年製作の映画)
3.4
坊やの体を食べちゃうぞ


コッポラの後ろ盾

【ロールバック】
今作は不思議な作品だ。導入は、帰郷のため軽快に車を走らせる姉弟が、突如得体の知れないトラックに襲われる。その折のトラックの不気味さは、それこそスピルバーグの「激突!」のような常識の破壊による不安に依存し、かなり鋭利な恐怖を体感できる。
しかし、相手の正体が明かされてゆくごとに、作品全体の雰囲気が80年代みたアクションまがいの超人ホラーへと変じてゆく。曲がトリガーになっているところは「エルム街の悪夢」的であり、ファンタジーまがいの暴れっぷりは「13日の金曜日」的である。今作の魅力は、そういうホラーイズムの年代ロールバックに依存しているのだと思う。

【80年代ホラーの復刻的試み】
本作にはそういう80年代的な古くささがありありと表現されているにも関わらず、2001年に公開されるやいなや大ヒットをしたらしい。
そこには前年代のホラーに対する聴衆の愛着みたいなものが内包されている気がする。でなければ、2001年に今作がそれほどヒットするはずもない。今や、さまざまな分野に橋を渡すホラーというジャンルだが、「エルム街」や「金曜日」など原初的で大衆向けなところに根ざす作品はテン年代以降見る影もない。今作はそうした時代の波にあらがう最後の反逆児だったのかもしれない。

【にしたって長い】
にしたって長い。これくらいの内容であれば1時間ちょっとにでも収まったのではないか?ネコのシーンとかもう少し短くできただろうに。なんとも融通の利かないけったいな作品という印象しかない。続編もあるらしいが、少し渋るところがある。
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