ヤスマサ

ジョンQ 最後の決断のヤスマサのレビュー・感想・評価

ジョンQ 最後の決断(2002年製作の映画)
4.0
重病の息子を救うため父親が病院に立てこもるサスペンス・ドラマ。
不況のあおりで苦しい生活を強いられていたジョン・Q・アーチボルド(デンゼル・ワシントン)は、息子のマイクが移植の必要な心臓病に倒れるも保険が下りず、高額な医療費の工面に奔走するが、病院から退院通告を受けてしまう。

この映画は、子供を思うあまり犯罪に手を出す父親の姿を描いているが、その背景にある不況に対する国の政策と保険制度を問題視しており、実在の問題と重ねたストーリーになっている。
冒頭は交通事故のシーンから始まるが、続いて、ジョンQ.が、景気減速の話しをするジョージ・W. ブッシュ大統領のテレビ放送を見ていると、車が銀行に差し押えられるシーンへと移る。
社会的背景と冒頭のシーンとの関わりが見えなかったが、マイクの病状が分かると、ドナーになる人ではと、ある意味ネタバレのように感じてくる。
マイクの手術に先立って、レベッカ・ペイン病院院長(アン・ヘッシュ)は冷たく非情な対応をするが、ジョンQ. が病院に立てこもると、「問題は、この国に医療保険の無い人が5000万人いること」と言い…、
ジョンQの友人は「この国で重要なのは価値観でなく価値なんだ…、何かが間違ってる」と言う。
この作品で言わんとしているところだ。
一見、ジョンQの我儘な暴走にも見えるが、ストックホルム症候群のように、人質も集まった群衆も彼に同情し、彼を応援していく様は、むしろ肥大化している社会問題への批判の大きさを表しているように見える。
ニック・カサヴェテス監督ならではの、骨太な映画。
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