マンボー

小さな旅人のマンボーのレビュー・感想・評価

小さな旅人(1992年製作の映画)
4.0
20世紀の終わり頃、梅雨どきのひどい雨の中、大学への通学用の定期券を使い電車に乗って、滋賀から京都を抜けて大阪の十三に向かい、歓楽街の合間にひっそりと息づくように存在していた第七藝術劇場で、霧の中の風景との二本立ての一本目として鑑賞しました。

平日の日中、少なめの観客の中で見上げるスクリーンに映る眩しいイタリアの夏の海、若くて人のよい警察官の不器用な誠実さを感じさせる横顔、売春をさせられスレたところがあるものの子どもらしい純粋さをも残した少女たち、そして型にはまり融通の利かない社会そのままのような大人たち、彼らの心の動きと、無情な展開はややありがちではあったけれど、若い役者の表情と終盤の夜の暗さは今も胸に焼きついていて、心に残る作品でした。