富樫鉄火

深夜の告白の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

深夜の告白(1949年製作の映画)
3.0
夜の映画大会@神保町。
普段、大人しいお嬢様役が多い山根寿子が、珍しく、厚化粧のやさぐれマダム役で、面白かった(こういう役も、なかなかよい)。
また、いつもは悪役の小澤栄(太郎)が、複雑な善人役で、これも珍しかった。
全体は、後年の、松本清張の『球形の荒野』を思わせる内容だが、不便な占領期に、ここまでの映画をつくったことは立派だと思った。
ただ、肝心の池部良の新聞記者が、どうも中途半端な役回りで(開巻、彼自身が物語全体を動かしていくとしか思えなかった)、これは脚本上の失敗ではないか。
あと、小澤栄の最期に向けて、もう少し、畳み込むような演出ができたらよかったのにと感じた。
ひさしぶりに月岡千秋をじっくり見た。地味だけどいい女優さんだった。
富樫鉄火

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