昔からそこにある自然、自然の中の人間、自然を巣食う人間の社会、人間の社会の中の自然。普遍的かもしれないけど、しかし2000年という時代に少しだけ先の出来事としてそれを描くことには何か見逃せない重要性があるように思える。かつ物語はスタイリッシュかつあまり上手くなく紡がれていて、そんな大それたメッセージがあるのかないのか、意識するべきかそれとももっと遊びのある演出をスタイリッシュに楽しむべきかを曖昧にする、その曖昧さがまさしく当時から続くこの問題へのリアルな人々の係わり方によく似ていると思った。環境問題を打ち出すテレビ番組はその真敵である文明により作られ、オーガニック学者はクラブ・ミュージックでパキりまくる。無秩序なカットのあとには必ず人工的な秩序の画が映る。真面目顏で批判的、かと思えば笑いがとまらなくなるような素晴らしい遊びもある。
この迫求性のなさがあまりにも見事で、昔の映画のモリモリエネルギーばかり求めていたぼくにはあまりにも弱い衝撃だった。ブラボー、21世紀。