けーはち

スパルタカスのけーはちのレビュー・感想・評価

スパルタカス(1960年製作の映画)
3.3
カーク・ダグラス主演/製作総指揮。序曲や中間休憩を含む200分弱の歴史大河劇。奴隷なのに綺麗に撫で付けた彼の髪型などは気になるが、古代ローマを再現した豪華な美術、衣装、若き日のキューブリック監督によるスケールの大きな撮影は見事だし、追放された脚本家トランボらを表舞台に戻す志高い意欲作でもある。また自由を希う剣奴の叛乱の活劇なのと同時に、後に三頭政治の一角としてローマを牛耳る将軍クラッススが政敵を蹴散らす政争劇、そして女性を巡るメロドラマの側面も孕む。私利私欲に塗れた市民派政治家グラックス(史実では兄弟だし、当時とっくに死んでいるが)や奴隷商人らは、最終的にスパルタクスの妻子を助ける情がある。人間の多面性、体制側の無慈悲な人間の恐ろしさを赤狩りの憂き目に遭った経験から描いたのだろうか。それ故に、いささか「長ぇ〜」という感は否めないが。メインテーマはのちに「Spartacus Love Theme」としてジャズ・スタンダードにもなった名曲。