クラゲライダー

うなぎのクラゲライダーのレビュー・感想・評価

うなぎ(1997年製作の映画)
4.3
浮気した妻を殺した男が出所して床屋を開く、という映画。

主人公は、妻を愛していたからこそ許せなくて殺したんだと思い込んでいる。
だから裏切られるのが嫌で、もう誰の事も愛さないと決めて生きていた。
しかしそこにムショで一緒だった柄本明が現れて言う。
お前の妻は、お前のセックスが下手だから浮気しただけ。
そしていつもは感じない妻が浮気相手に感じている姿を見て、お前は嫉妬に狂っただけの話。つまり愛なんて関係ない、と。
これに主人公は反論できない。つまり図星なわけだ。
この言葉によって主人公はケイコの事をもう一度愛そうとする。
柄本明演じる男は最低なクズだが、そんな奴がテーマというか真実を語っていた。
今村昌平は、愛よりセックスの方が大事と言っているのではないか?
実際、夫のセックスに満足できなくて浮気している妻ってたくさんいる気がする。
最近見たナポレオンのセックスを思い出した。

ラストに清水美沙がタンゴを踊るシーンが良かった。
こんな世の中狂って踊るしか生きられない、という母と同じ気持ちに彼女はやっと辿り着いたわけだ。
ポンジュノの母なる証明はこれをパクっている気がする。