おかちゃん

薔薇の葬列のおかちゃんのレビュー・感想・評価

薔薇の葬列(1969年製作の映画)
2.9
ピーターの魅力がハンパない❗️
今の2~30歳代には馴染み薄い名前だろうが、昭和世代には悪魔的魅力を放つ、時代の徒花的スターだった。本作品はデビュー作なので若々しく(青い性を宿す、今風に言うとロリータ風な魅力さえ持つ)、流石に私もこの様な妖艶で小悪魔的な彼を観たのは初めてだった。美しい‼️
(私はその方面の嗜好は無い。念の為🤭)
・筋立ては今の時代からみれば、ごく普通の夜の街のナンバーワン争いなのだが、そこに「アポロンの地獄」をベースに(ゴダール風Shotで明確)、エディップス・コンプレックス風に生い立ちを挿話する。
・ただ、映像は各所実験が施され、あげくには茶化しまでしている。(売人が踏み込まれたと勘違いし不様に逃げようとする姿を早回ししたり、カットバックで時間軸を戻したり、演者さえも篠田正浩・蜷川幸雄、淀川長治を登場させる)
・挿入風景画も、ゴーゴークラブ、乱交P、ゲバ棒振う反対闘争、2丁目等の当時の風景がそこらじゅうに登場する。
・そこへ、実在ゲイボーイの直接インタビューを入れ込み、現在進行形のリアル感をドキュメンタリー的に盛り込む。

ここまで観てくると、本当に騒々しく、猥雑で、尚且つアバンギャルドな時代だったな…と想わされる。しかし一方で、ゴーゴークラブ➡️クラブ、乱交P➡️Swap-p、援交、タレントの公衆トイレのS…今の時代も何ら変わらず、むしろ過激になっている。ゲイの世界も、2丁目からTV業界に登場し、お茶の間バラドルである。現在のLGBT問題を考えさせる。

・間違わないように理解して欲しい。
性同一性は1つの人格であり、それを責めたり封じ込める人権蹂躙は、私は認めない。
・しかし、一方で時代のアンダーグランドで秘かに棲息する文化は、それが密かである事で妖艶さ等の魅力を増す。
そう、enfant terribleでありavant-gardeなのである。
・他方、誰もが知り選択出来る情報の開示も重要な権利なのである。それによって文明・文化が前進する事もある。

・もう1点、人間は理性を求めて探究する努力は必要で称賛されるべきだが、表舞台に出てこずとも秘かに育まれた文化も忘れる(捨て去る?)必要はない。

人間は、各も矛盾した存在なのだ。

なので、大手をふってどうどうメジャー館でみて、理解を求めるようなポピュラリティがあるわけでないので、敢えて辛めの点にしました。