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薔薇の葬列のayukaのレビュー・感想・評価

薔薇の葬列(1969年製作の映画)
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わああああこんなにイケてトンガってる日本映画があったとは。
公開年、1969年ということで、ニューヨークではストーンウォール事件をきっかけにでトランスジェンダーの女性たちが中心となってLGBTQの権利を求めて抗議。
アメリカではカウンターカルチャーの最中、ラブアンドピースを求めてヒッピーたちは葉っぱをふかし、グレイトフルデッドを聴きながらLSDでトリップ。

そんなアメリカのカウンターカルチャーや抗議運動に発足された日本の若者たちと一見”はみ出した者たち”を中心に描いた映画。”ゲイボーイ”とこの年代、または作品中では呼ばれているけれどトランスジェンダー女性たちなわけで。この映画はそんな彼女たちがアイデンティティに苦しむ映画、というわけではない。作中の日本/コミュニティでは彼女たちが普通に受け入れられている。最後ああなったのも、単にエディがトランスジェンダーだから、という理由ではないことからも言えるように。
ということで、当時の物差しから言うとものすごくものすごく前衛的な視点から描かれているんだろうな。大麻への言及や描写も然り。
時計仕掛けのオレンジがこの映画に影響を受けたらしく、まさに、あのコミカルな音楽の使い方や目のショットなど、ふむふむ、と思うところが多かった。そして60,70年代の日本映画の多くに当てはまるようにヌーベルバーグの影響もめちゃくちゃ見られました。編集やらショットやら。
観れてめちゃくちゃよかったなあ、と。貴重だなあ、と。当時の前衛的な考えとカルチャーを冷凍保存したようなもの。
あまり日本映画を観ないので偉そうなことはまったくもって言えないのですが、最近の日本映画はまあそりゃそうだけど商業的だなあと。この映画のように、カルチャーを映して、視点と考え方を作品に反映して表現して残している映画って最近の日本映画には無いのでは?
もっと昔の日本映画を観たくなりました。
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