「今日僕が死んだら？」
「明日私も死ぬわ」
とてもたまらん映画を観てしまった。
怒号、絡めた指、塗り重ねる絵の具、血の涙を流すマリア。
どこを切り取っても溜息が出るほど可愛い。可愛いって言うのは愛しいとか、そういう類の。
愛に溢れた不器用な100分、この「もう少しみたい」短さが好き。
ユベールの少し大きい前歯子犬のような目特徴的なヘアスタイル、なんっとなく憎めないんだよな。
恋人との幸福そのものみたいな時間の一つ一つが印象的で、特に絵の具で手と壁をグチャグチャにして身体を重ねるシーン綺麗でお気に入り。
ユベールの母親を憎む部分にスポットを当て話が進むため見進めるにつれて「なるほど！」と繋がる。音楽の奇を衒ったようなチョイスも嫌いじゃなくて、魅入った。わたしはロランスはそこまで、と思ったんだけどなー。
水に垂らした絵の具が水面で膨張するように、そんなあたたかい映画だった。
