Shion

X-MEN:ファイナル ディシジョンのShionのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

諸々の事情で監督が変わり、作風もガラッと変わってしまった旧三部作最終作。

映画自体の長さも再び1時間45分と一作目と同程度に落ち着いた。
今になって観れば味わい深いかとも思ったが……やはり、これは後の『フューチャー&パスト』で色んな意味で黒歴史にされたのもよくわかる作品だった……。

三部作の締め括りとして、本来であれば一つ一つの描写を丁寧に演出すべきところが描けてないのは、監督に作品への思い入れがないためだろうか。

プロフェッサーの最期に対するマグニートーだとか、ローグのキュア治療に対するローガンだとか……。
なんだかんだで1作目から引っ張ってきた因縁だった割には、パイロとボビー=アイスマンの闘いも物足りない。

エンジェルと父の関係も、前作のストライカーとジェイソンに引き続き深みのあるドラマになったはずだったと思うのだが……。

前作では丁寧に描いた登場人物の内面描写が総じて薄い。
旧三部作はウルヴァリンとジーンの物語なんだろうけど、それならサイクロップスは最後までいないと成り立たないだろう。

結局ローグとヨリを戻してるボビーもよくわからない。
ただ単にフラフラしてるだけのアイスマンはサイクロップス以上に良いとこがない。

ミスティークは弱体化し、
マグニートーは小物と化し、
サイクロップスは序盤30分で退場、
本領発揮したアイスマンは2人の女性の間でフラフラし、
プロフェッサーも灰燼と消えその後は存在感なしで
登場人物への愛が感じられない。

内面的な葛藤も成長も描かれないのでキャラクターが皆机上のもので終わっている。

アクションも全般的にキレが悪い。
マグニートーが橋ごと移動するシーンは確かにすごいが、非現実的過ぎてその凄さがイマイチ伝わり切らない

ラストバトルも大量のミュータントがカメオ的に登場する総決算的な対決だが、画面もゴチャゴチャしてるし人数が多すぎて能力の面白さが画面から伝わらないのだ。
前作はリアリティがあったからこそミュータント能力の凄さが視覚的に伝わって面白かったし、今回登場したキャラクターでもそれは充分表現できたはずだ。

やはり言いたくはないが、出演へのセクハラとアウティングで業界から干されたブレット・ラトナーではX-MENにおけるミュータント差別や葛藤を描くには役不足という言葉じゃ済まなかったというのがよくわかる。

話は進むが内面描写が皆無に等しく
登場人物たちに葛藤がないので物語にまったくノれない。
あらゆる意味で黒歴史と化した作品だ。
Shion

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