ひげしゃちょー

狼と豚と人間のひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

狼と豚と人間(1964年製作の映画)
4.2
社会派とヤクザとアクションが絡み合う深作欣二初期の傑作。 深作映画をデビュー作から観ていて今作が一番面白い。 ゴミ溜めから這い上がろうとする三郎、国外脱出に希望を見出して麻薬取引現場から二千万と二千万のヤクを盗み出す作戦を考えた二郎、岩崎組で安泰に暮らしていた市郎。その兄弟たちが繰り広げる足の引っ張りあい。ラストは和解して共闘するかと思いきや市郎だけは我が身かわいさに加わらなかった。 豚のように強欲な三國連太郎、狼のように荒っぽい高倉健、人間らしく自由を求める北大路欣也のそれぞれの良さが引き立っていて戦後の高度成長期の人間の欲望を描いた深作モノクロ映画の傑作となった。