すずき

オリビアちゃんの大冒険のすずきのレビュー・感想・評価

オリビアちゃんの大冒険(1986年製作の映画)
3.8
1897年のロンドン、そこに住むネズミたちの世界が舞台。
ネズミの少女オリビアは、玩具職人の父親を誘拐される。
途方に暮れた彼女は、戦争帰りの軍医ネズミ・ドーソンの案内で、ベーカー街221Bの下宿…の軒下に住む名探偵ネズミ・バジルの元を訪れる。
彼女の父を誘拐したのは、バジルのライバルで「犯罪界のナポレオン」ラティガン教授の手によるとわかると、バジルは俄然やる気に。
かくしてバジルとドーソン、そしてオリビアの3人は、事件の捜査を始める。
だがそこに、ラティガン教授の魔の手が迫り…

ディズニー長編アニメーション第26作。
ここらへんから年1作のペースで公開されるようになる。
さて本作は、ご存知シャーロック・ホームズのパロディ作品。
コナン・ドイル財団が厳しそうなので、「ホームズ」の「ホ」の字も出ない。(本人はシルエットだけ登場)
だがヴァイオリンと化学実験を愛するバジルはまんまホームズ。ちょっと性格がムチャクチャで情けない所があるけど…。

しかし、この邦題は酷い部類に入る。
おじいちゃん、「女性名+大冒険」はこの前やったでしょ!(第23作「ビアンカの大冒険」)ごっちゃになるからやめてほしい!
1番の問題は、言うほどオリビアちゃん大冒険してない所。
彼女は途中で拐われちゃうし、主人公は明らかにバジルなんだよなぁ。

この作品もあんまり期待してなかったんだけど、意外にかなり面白かった!
今作はエンタメ方向に思い切り舵を切っていて、脚本の作り方もかなり洗練されキレイに纏まってる。成長したなぁ、ディズニー。(←何様)

何より、クライマックスの盛り上がりが良かった!
絶体絶命の危機から機転を働かせて脱出したバジルは、すんでの所でラティガンの企みを阻止する!
そしてバジルとラティガンのバトルに突入するが、あっさり決着はつかず、場所を移動しながら何度もぶつかり合う、見ごたえのあるクライマックス。
…ぶっちゃけ、「カリオストロの城」のパクリなんだけど、面白かったからよし!
巨大歯車の回る時計塔内部でのアクションとか、時計の針の上でラストバトル、そして時計の針が動く事でとどめを刺す所がほとんどまんま「カリ城」。
「カリ城」見てやりたかったんだろーな、監督。

ちなみにディズニーアニメでCGが本格的に使用された初めての作品らしいですよ。
多分時、計台内部の歯車が3DCGなのかな。
やたらダイナミックなカメラワークで構図の移り変わりが派手だったし。
「美女と野獣」でもダンスシーンの宮殿の背景がCGだったし、無機物・人工物の作画からCGを取り入れ、徐々にその割合を増やしていくんだろうな。
そしてピクサーの「トイ・ストーリー」で、アニメは手書きから完全にCGへと切り替わる、と。
これから先、その過渡期である作品群で、どんなふうにCGが使われていくのか、その歴史の変遷を見るのも楽しそう。