mare

楽日のmareのレビュー・感想・評価

楽日(2003年製作の映画)
4.0
いよいよ本当に誰も喋んなくなってしまったが赤の他人しかいないわけだからそりゃそう。普段からイヤホンしてスマホ見たりして目を逸らしてるから気づかないだけで、他人との間合いに対して常にヒリヒリと見えない摩擦が起きていることを可視化しているなとも思った。その辺りのリアルな描写もあるし、人気もほとんどいなくなった中での最終上映にかつての思いを重ね合わせ涙ぐむお客さんがいたり、さらに知人との再会であったり、静寂の中にドラマはいくつもある。内側に籠ったような人々、もはやホラーやカルトに接近した恐るべき長回し、映画館の闇が生み出す日常からの逸脱は迷い込むような感覚を与える。色々ひっくるめて映画体験ってこういうことだよと訴えかけてくるツァイ・ミンリャンの愛が伝わる作品だった。
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