ハローダギー

楽日のハローダギーのネタバレレビュー・内容・結末

楽日(2003年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

第35回(2022年)東京国際映画祭

映画館閉館の日のお話。
受付係の女性が電鍋でつくった桃饅頭のやりとりのシーンが好きです。

きれいな桃色と白色の皮。そしてとても大きい。熱々の皮のはじっこをむしってひと口。あんこも一緒にまたひと口。どうやらおいしくできたようだ。桃饅頭むしる、お茶のむ、桃饅頭むしる、お茶のむ、で食べすすむ。なかなかに食べすすんだある時点で、思い出したようにきれいに半分に切り分ける。

映写技師の男性の仕事場に差し入れ。あいにく映写室にはいないので置いてくる。はたして気がついてくれるのか。

様子を見に行くと桃饅頭はそのまま。思いをめぐらした後、持ち帰る。

ラストシーン。映写技師の男性が退館間際に占い機で占いした後、受付カウンターの電鍋の中の桃饅頭に気がつく。土砂降りの雨の中、電鍋ごとひざに乗せ、急いでバイクで走り出す。それを後ろから見ている女性。

ふたりに台詞の会話がないからこそ、ふるまいが眼の奥に焼きついています。観た後も、思い出しながらゆっくり味わえる一本でした。