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楽日のあのレビュー・感想・評価

楽日(2003年製作の映画)
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建築映画。劇場内の巨大スクリーンには時代ものの活劇が映し出されている。そのくぐもった音が映画館の建物の内部にある廊下や階段の壁に反響している。映写室からは光が漏れ、脚の悪い劇場の女が覗き込む。おそらくは男たちの発展場としての役割をもったその入り組んだ内部構造のなかを活劇の響きとは対照的に男たちが距離と視線の──高密度ではあるが──不活性な劇を演じている。男子トイレの五、六も並んだ小便器に三人の男が無言で長い間並び立つ。大便用の個室には二人の男がいて、出てきた男はこれまた無言でずっと手を洗っている。彼らは何かを待っているのか、いや文字通り不活性な分子の振る舞いとしか言えない気もする。この映画館の建物内だけ、外部と内部が反転しているような感じがする。
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