Omizu

楽日のOmizuのレビュー・感想・評価

楽日(2003年製作の映画)
4.0
【第60回ヴェネツィア映画祭 国際映画批評家連盟賞】
『愛情萬歳』ツァイ・ミンリャン監督作品。ヴェネツィア映画祭でプレミアされ国際映画批評家連盟賞を受賞した。

寂れた映画館を舞台としつつ、ほとんどセリフがないという異色の作品。なるほどミンリャンらしい攻めた映画だ。

こういうの、ほんとミンリャンにしかできないよね。『日子』が素晴らしかったのでミンリャン作品をなんとなく追っているのだが、どれもいい。今のところ(自分の中での)ハズレがない。

一カットが不思議に長くて魅了される。セリフでは説明されない余白のある映像センスを観ているだけで刺激的。

流れている映画はキン・フーの娯楽作『血斗竜門の宿』でありながら、本作自体には娯楽性は全くない。そのギャップがおもしろい。

何が面白いかと言われると分からないのだが、惹きつけられるものがある作品。哀愁というのかなぁ、寂れた映画館の寂れた一日をそのまま切り取ったような気怠さがある。

個人的にはフィリピンのラヴ・ディアスと並んで長回し自体に魅力を持たせられる映画作家だと思っている。やっぱミンリャン好きだなぁ。
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