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楽日のmingoのレビュー・感想・評価

楽日(2003年製作の映画)
4.2
最近知り合った友人がベストにあげていたため重い腰をあげてやっと観たが、演出するべき部分とそうでない部分の適度なバランス感覚に屈服した。芸大生が真似しようにも映像を何年も撮ってるプロがいきなり映画撮るぜって言っても、生きている上でなにがひとの心を動かすかわからないと永久に撮れない作品の一つであるし、真似したところでその通りにならないから「映画作家」なのである。ツァイミンリャンの偉大さを痛感。

劇中台詞はほぼないが「この映画館には幽霊がいる」というゲイの台詞からは人と交わりたい(変な意味も含め)という一方通行のコミュニケーションから相互のそれを求める真理なる部分と、ラストの「皆、映画を観ないね」という台詞からは映画館が落日を迎えたからとか失われつつある映画そのものに対する郷愁を感じ取ったからではなく、全てにおいて交わることの無かった一方通行であったコミュニケーションが遂に出会い、言葉が交わされたから胸が熱くなったのだと思う。

そもそも今僕が感じて書いていることもいっときの感情に身を任せて書いてるので間違いのようさえするし、それでも確かなのは終わりを迎えた映画館に木霊する足跡と画面をみていた人々の視線だけははっきりと脳裏に焼きついているし、劇場は赤いシートが似合うなぁということである。僕が煙草をやめられない1番の理由として劇場の外で一服して余韻に浸るあの時間は何物にも変えがたいものがあるんだなぁ

てかエンディングの60年代歌謡曲「留恋」て作曲服部良一か、、、凄え服部さん何でもやってる…
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