閉館日のガラガラの映画館で、それぞれの時が静かに流れる。
多くを語らずとも、みんなの目が物語っている感じがして、何故か伝わってくる不思議な映画。
あつあつの桃饅頭の毒々しいピンク色が唯一鮮やかだが、ほかはほとんど薄暗い。
そんな描写も奇妙で、桃饅頭と、それを見つめる恋する女性の切ない顔が忘れられなくなる。
同じ場所でも、人それぞれ違う想いやドラマがある。
「さよなら」の日本語も、なんだか切なさを増している気がした。
私が好きなのは、スクリーンの裏側から瞬きもせずに映画を観る女性の顔に、まるでプラネタリウムの星のように光が当たるシーン。とても美しくてうっとりしました。