東京フィルメックス、ツァイ・ミンリャン特集にて。映写技師をしていたこともあり、非常に親近感を覚える作品。有楽町スバル座は古めで座席が赤いため、映画の画面とリンクしていてよかった。とくになんにも起きな…
>>続きを読むこのレビューはネタバレを含みます
楽日を迎える映画館を描くという、何か特筆する事件が起こるわけでもなく、台詞もほとんどなく淡々と進む物語ながら、映画や映画館に対する監督のこだわりを強く感じさせる作品。
『青春神話』、『河』、『ふた…
キン・フーの武侠映画が流れる巨大映画館の楽日。
近くの街の商業施設にシネコンがやってきて、私の町の映画館は無くなった。あの時の寂寞とした想いが一気に噴き出してきた。
空っぽの客席をただ写すという、…
雨降りの映画館、歴史物の上映、過疎った場内なのに、なぜかカメラ前で密集し収まる人々。長すぎる立ちション。歩き回るおばさん。隣をじーっと見つめる男。台詞はほぼない。自然なようで不自然だらけの映画館。
…
通路といった空間的効果、音響効果、照明効果を自在に活用したいわば即物的、触感的な生成のサスペンスが映画館を満たしている。そうした映画的効果の中で時空は過去を自己満足的センチメンタリズムから離れた現…
>>続きを読む素晴らしい。
たまたま手に取ったツァイ・ミンリャンであったが、この作品を機に全作品が観たくなるほどの傑作であった。
セリフはほとんどなく、変化に乏しい長回しが永遠と続くが、なぜか全編観た後には作品…
©Lin Meng-Shan