のすけ

裏窓ののすけのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
4.3
ヒッチコックデビュー

足を怪我して動けないカメラマンが療養中に部屋の窓から周りの住宅の人たちの生活を覗き見ると犯罪らしきものを見てしまうって話。

全編セット撮り。本当に劇よりの映画って感じ。後半の展開以外はカメラはずっと主人公の部屋から出ない。ここがめっちゃポイントで、映画を見てる自分たちも常に主人公と同じ景色しか見えない。その分物語に入り込みやすくなって、主人公と見ている自分たちが同化していく。
向かいの人が妻を殺したんちゃうかって主人公は考え出すけど、その絶対的な場面は主人公は見てなくて、カメラにも映らない。だから、最後までその犯罪が行われたって確証はないまま物語が進む。友達の刑事によると、向かいの人はアリバイがあって殺人してないらしい。映画を見ている自分たちは普通に考えたら、殺人は起きていなって思うはずやけど、なぜか主人公を信じてしまう。それだけ主人公との同化が進んでるからやと思う。

後半の怒涛の展開はほんまえぐい。
今まで遠くから観察してただけやから主人公の部屋は安全やったけど、その安全圏が突然侵される。これは見ている自分たちにとってもそうで、主人公と同化して主人公には何も起きない(自分たちには何も起きない)って思ってたら突然襲われる。しかも、ジワジワと部屋に近づいてくる時は恐怖でしか無い。

考えれば考えるほどいろんな仕掛けがあってめちゃくちゃおもしろい映画。

アルフレッドヒッチコックさん
さすがでした。
のすけ

のすけ