レインウォッチャー

フリーク・オルランドのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

フリーク・オルランド(1981年製作の映画)
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時空を超越しながら生きる人物オルランドの、悪夢の数珠繋ぎか地獄めぐり…そんな大河的な風刺劇が、現代の工業地域や素のままの路上、あるいはデパートで繰り広げられる。

こ・れ・は…ちょっとわたしの中のどの棚にしまえば良いかわからず、だった。
『アル中女の肖像』は「あーはん」って感じにならせていただけたのだけれど、同じ『ベルリン3部作』の一本とはいえかなり異なる趣。ウルリケ・オッティンガー、一筋縄ではいかぬ子。悔しいのでまた挑戦したい。

ひとつのネタがやたら長かったり、衣装が奇抜ながら大人の学芸会風だったり、ベルイマンオマージュが出てきたり。色々と目が散るしなかなか直接言ってくれないのだけれど、たぶん根っこには『アル中女の肖像』から通じる、ジェンダー論・ドイツ論だけに収まらない文系パンク精神があるのだと思う。

同じ原作を基にしながらも、'92年の『オルランド』(サリー・ポッターfeat.ティルダ・スウィントン版)とは似ても似つかない超アレンジ版といえる。まさに、フリーク(奇形の)・オルランドであることは確か。
というか、ヴァージニア・ウルフは墓場から昇竜拳してこなかったのか、それが心配である。

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『ジャンヌ・ディエルマン』では3時間不動の女に徹していたデルフィーヌ・セイリグが、今作では一転、一人複数役の七変化を見せる。あと地面に植わったりしてる。