何度も映像化されてきたブラム・ストーカーの原作をコッポラが映画化したゴシックホラー。
ゲイリー・オールドマンとアンソニー・ホプキンスを筆頭に豪華なキャスティングとオスカー受賞の衣装とメイクが作り出すゴシック然とした雰囲気が見所です。
原作に忠実だというお話の展開は悪くなく、エンタメ感は薄くても楽しく観られたのですが、ドラマとしての感情描写は今ひとつでした。
伯爵の亡き妻への未練は伝わってきますが、瓜二つな女に妄信的に突き進む怪物としての狂気を見せるのか、別人と分かりながら惹かれてしまう人間的な葛藤を見せるのか中途半端でした。
それはウィノナ演じる女側も同様で、共感や同情に心が揺れているのか、性的に幻惑されたのか、はたまた生まれ変わりなのかスタンスが定まらない印象です。
そしてキアヌ演じる青年もヘルシング登場以降は存在感が薄く、もっと面白くなりそうな要素が散りばめられながらも活かされないのがもったいなかったです。
