しゅう

妖刀物語 花の吉原百人斬りのしゅうのレビュー・感想・評価

4.1
東映時代劇YouTubeにて鑑賞。

初めての内田吐夢監督作。成る程、巨匠の名に恥じぬ重厚かつ繊細な造りの傑作悲劇。

未だ時代劇に力のあった頃の作品だけあって、舞台となる吉原の巨大セットと住人たちの豪華絢爛な衣装、何より片岡千恵蔵を始めとする役者陣の美しき口跡と細やかな芝居に只々うっとり。

花魁、禿、男衆に幇間など様々な人々が行き交う吉原の廓文化の浮き立つ様な華やかさ。同時にその裏側にある、女達を隷属させランク付けして贔屓客と共に争わせる事によって金を吸い上げる(現代にも通ずる)強欲な集金システムの醜悪さもしっかり描かれる。

遊女水谷八重子は己の出世欲の為に千恵蔵を弄んだ様にも見えるが、最後吉原の大木戸の前で斬り殺される姿にはシステムの外に出られず利用され尽くした人間の哀しさが残る。
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