ハマジン

妖刀物語 花の吉原百人斬りのハマジンのレビュー・感想・評価

4.0
歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』を原作としつつ、内田吐夢版『スカーレット・ストリート』といったおもむきもあり。
「痣のある顔」とその傍らに置かれた「妖刀」という表面の不吉なしるしによって、片岡千恵蔵演じる次郎左衛門の運命が予め定められているのがとてつもなく怖い作品。「心にまで痣があるわけではな」くとも、映画という残酷な装置においてはスクリーンの表面に現れるものがすべてであり、その刻印は被写体にとってつねに呪いであるのだ。
閉ざされた吉原の大門によって、社会の搾取の構造とそこから逃れることのできない人々を視覚的に示すラストの俯瞰ショットも素晴らしかった。傑作。
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