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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国のYYamadaのレビュー・感想・評価

3.5
【考古学者/インディアナ・ジョーンズ】

◆本作の舞台 〈1957年〉
 米ネバダ州→米コネチカット州→
 ペルー/クスコ→
 アマゾン/イリャ・アラマカ
◆マグガフィン
 クリスタル・スカル、エルドラド

◆公開時の年齢
S.スピルバーグ: 61歳
G.ルーカス  : 63歳
H.フォード  : 65歳
I.ジョーンズ  : 58歳

〈見処〉
①「超お久しぶり続編」のハシリ
・『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(原題: Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull)は、2008年に公開されたのシリーズの第4作。
・舞台は、マッカーシズム(赤狩り)が吹き荒れる1957年のアメリカ、ネバダ州。イリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)率いるソ連軍兵士達に拘束されたイインディと相棒ジマックは、アメリカ軍施設「エリア51」にある機密物保管倉庫に連行され「1947年にニューメキシコ州ロズウェルで起きた事件」でアメリカが手に入れた、強い磁気を発する長方形の箱を探すよう、インディに強要。そしてそこで彼らが見つけたのは、強い磁気で金属を引き寄せる謎のミイラだった。
・インディはマックの裏切りに遭いながらも、何とか彼らの拘束から逃れることに成功したが、FBIからマックとの関係性について尋問を受け、赤狩りの対象者になってしまった。
・本件により大学を無期限休職処分になり、失望したインディは国外に向かうため列車に乗ると、バイクにまたがる謎青年、マット・ウィリアムズから、ペルーから助けを求める自身の母親の救済を求められる…。
・本作は前作の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』から19年後の1957年が舞台となっているが、現実でも実際に19年が経っている。これに伴い、財宝を巡る敵対組織も、ナチス・ドイツから冷戦時代のソビエト連邦に変更されている。
・本作がここまで公開が遅れたのはジョージ・ルーカスによる脚本化が難航したため。当初は古城の幽霊を巡るストーリーから出発、M・ナイト・シャマラン、フランク・ダラボンらによる着手・撤回が繰り返された。結局脚本を纏め上げたのはスピルバーグ作品常連のデヴィッド・コープ。その間、マーカス・ブロディを演じたデンホルム・エリオットは1992年に、前3作全てに出演したパット・ローチも2004年に亡くなってしまった。
・公開された2008年前後は『ロッキーザファイナル』(2006)『ランボー/最期の戦場』(2008)など往年の傑作の続編公開が目立ち、以降も、『スターウォーズEp7』(2015)『ブレードランナー2049』(2017)『マトリックス4』などが続く。
・その中の真打ちの一つであった本作であるが、その出来映えに落胆した一部のファンによって、映画シリーズがピークを過ぎ、つまらなくなったことを「nuke the fridge」(核の冷蔵庫)というフレーズで呼ばれるようになる。これは、本作でインディが核爆発を冷蔵庫に隠れる逃れるシーンから来ているそうだ。
・そんな本作でも、最終興行収入は全世界で7億8千万ドル。『インディ・ジョーンズ』シリーズでは最高の興行収入である。

②シリーズ作品との連関性
前作から19年が経過し、本作による前作までの出演キャラクターはインディとマリオンだけどなったが、シリーズを踏襲する設定が確認出来る。
・冒頭の「エリア51」は『レイダース』ラストシーンから。
・インディ宅の卓上に父ヘンリーとマーカスの写真が。音楽も『最後の聖杯』のフレーズが流れる。
・更に二度目のインディ宅のシーンをよく見ると、エジプトの友人サラーと歌姫ウィリースコットの写真も見える。
・ぺルーの現地の言葉を理解するインディに、メキシコの革命家であるパンチョ・ヴィラと一緒にいたと聞かされて、マットが驚くシーンがあるが、インディとパンチョ・ヴィラのエピソードは、テレビドラマ「インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険」で描かれている。初めてドラマの設定が映画に逆上陸した。

③酷評が過ぎるが良い点もある!?
○: ハリソン・フォード65歳。まだまだインディジョーンズを演じられることを証明。
○: 本作の「ディザーオープニング」はエリア51。本作最初のインディ登場シーンに対するスピルバーグ演出は素晴らしい。また、レイダースに通じる世界観も嬉しい。
○: 日本では特に否定的意見が多い核実験の描写。不謹慎ながらも、冷戦下の科学の時代になったことの描写として、個人的には許せる。
▲: 前作からの後付け設定「 ヘンリー・ジョーンズJr.」の呼称を旧友やマリオンまでもが認知していることに大いに違和感あり。
×: 生きるか死ぬかの緊張感が全くない。とくに中盤マリオン登場以降の「ヘビロープ」「モンキージャンプ」「滝壺ダイビング」は、もはやコメディ。
×: 他作にも増して、遺跡のトラップが、「一回限り」の仕掛けばかりで興醒めしてしまう。
×: ラストシーンにはオカルトの神秘性はもはやない。駄作のルーカス作品に共通する、ガッカリ脚本。

厳しめの評価となったが、前半1時間は、インディシリーズの体裁を保つ合格レベル作品だと思う。さて「第5作」はあるのか!?
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