はるきみどり

アリスのはるきみどりのレビュー・感想・評価

アリス(1988年製作の映画)
4.5
不思議の国のアリスそのままのお話

幼いアリスが不思議の国に迷い込んでひとりで冒険をする、というストーリー自体、よく考えたら不気味ですよね。
処刑を恐れて走るうさぎ、得体の知れない食べ物や飲みものを口にして、伸びたり縮んだりするアリス、頭のおかしな帽子屋と三月うさぎ、性格の悪い謎の化け物達。
忠実に映像化するとこうだよな、と妙に納得しました。食べ物だって、あらゆる生き物の成れの果てですもんね。不気味な世界の食材が、美味しそうなわけがない。

こんなに食べ物をグロテスクに、不味そうに撮れる監督は、この方しかいないと思います。
昔のチェコ映画の、ジメッとした暗さと可愛らしさが同居する雰囲気も素晴らしいです。
シュバンクマイエル作品を観たい時、代わりになる作品はありません。
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