jonajona

アリスのjonajonaのレビュー・感想・評価

アリス(1988年製作の映画)
5.0
ヤンシュヴァンクマイエル初観賞。

私はこれから映画をみさせられるのだわ
たぶん子供の映画よ
はやく、目を閉じないと
何も見えない

ネタを知ってる不思議の国のアリスから手堅く見てみることに。
こんなに不思議なはなしやったっけという印象…笑
最高にイカれた世界で非常に面白かった。

なんの説明もなく不気味に古びた狂気の世界観を見せられる。ぶっきらぼうなようで計算された美しい画面構成がたのしい。

落ち葉に落っこちるシーンとか次の『不思議』へのシークエンスがいちいち謎の説得力があって滑らか。意味わからんのに魅せられる。

うさぎが逃げて追いかけるシーンの序盤の、荒野に置かれた机の引き出しに入り込むシーンだけど
地味に引き出しに入る前に引き出し内の三角定規とかコンパスとかを見せておいて、入った地下道のようになってる引き出し内を歩いてる時もずっと三角定規とかが床に敷き詰められてるのは、地続き感あって説得力がある。こういうよく分からん巧みさが随所にみれる。

頭の上で飯盒炊かれるのわろた。
兎の召使いみたいな骸骨とキメラの化け物たちがキモカワで素晴らしい。ビル瞬殺されててわろた。

メアリーアンって誰?って聞き返してるってことはこの主人公のお嬢ちゃんのほんとの名前じゃないよな…アリスだもんね。
意味深な映画だなぁ、そもそもアリスのお話がすごい好きなので最高。
終わり方まで不気味で、レンタルの裏面に『少女の物語のなかに監督の卑猥な妄想が孕む』的なめっちゃ気持ち悪いコピーが書いてて目を引かれたけど、割とその言葉のとおりだった笑。


追記【描写メモ】
・境目はちゃんと描く。
ショーケースの中の風景から妄想の岩場に移行するシーンでは短いショットで斜め俯瞰から2つの世界の境目を兎が跨ぐとこを一度丁寧に映してる。その後は少女の視点から岩場の向こうに走る兎の背中。

・境目ショットの先に『急がなきゃ急がなきゃ』と兎が言うのと連動してる動いてる女の子の口のアップが映る。これが兎と彼女の妄想が連動してることを表してる。と同時にそれを眺めて驚いてる彼女もいて、別の超自我的な意識として口元のアップを切り分けて描いてる。
このシーンがある事で彼女の言葉(意識)がトリガーで世界を渡って行ってることがなんとなくわかる。
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