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条理ある疑いの彼方にのysmのレビュー・感想・評価

条理ある疑いの彼方に(1956年製作の映画)
5.0
面白かった。ここまで最初から嘘で始まっている映画もなかなかないと思う。「自分で作った罠に嬉々として嵌っていたら本当に死にそうになっている人」を笑っているつもりの観客が、実は最初からその人に笑われていた、という話。「証拠」というものについてのコメディ。「捏造された証拠」の証明には、「捏造された証拠の証拠」が必要になる。それがなければ「捏造された証拠」はただの純然たる証拠に成り代わる。証拠はそれ自体の価値というより周囲から浮かび上がった差異だ。だからこの「浮かび上がらせること」が出来ればもうそれは証拠になる。刑事事件の証拠は事件の間接的な痕跡でしかないので、言葉そのものに似ている。
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