Foufou

名探偵登場のFoufouのレビュー・感想・評価

名探偵登場(1976年製作の映画)
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東洋人は臭いとかまともに喋れないとか、聾唖者や盲人の扱いとか、ゲイのエピソードとか、今なら大問題になりかねない「ギャグ」もさることながら、おそらくポリコレ的に一番アウトなのはピーター・セラーズの支那人メイクですね。70年代の差別コードがどんなものだったかを知る、図らずも貴重な資料となっている。ちなみに黒人は出演しておりません。

五人の有名どころの探偵がお屋敷に招待され、当該屋敷で起こる密室事件を解決したら100万ドル、とホストから挑発される。探偵らは役名こそ違え、ミス・マープルにポアロ、チャールズ夫妻、チャーリー・チャン警部そしてサム・スペードと、アガサ・クリスティやダシール・ハメットの登場人物がモデル。ピーター・フォークは刑事コロンボをパロディで演じるのかと思いましたが違いました。今回はおとぼけよりはやさぐれ。不潔感は真骨頂です。ちなみに刑事コロンボのテレビシリーズ開始は68年。『名探偵登場』の公開が76年。

Wikiによると、この作品にはオリジナルバージョンがあり、そちらがまずアメリカでは公開されたよう。オリジナルバージョンではホームズとワトソンが終幕で登場してまんまと五人の名探偵ならぬ迷探偵の鼻を明かすらしいですが、この二人を演じたのが無名の俳優だったらしく、彼らがおいしいところを持っていくことに出演者のお歴々が納得しなかったようで、急遽別バージョンが撮られたのだとか。日本版はこの別バージョンのほう。そんなこともあるんですね。

本作で特筆すべきは、お屋敷のホスト役をトルーマン・カポーティが演じていることでしょう。『冷血』や『ティファニーで朝食を』で知られる著名な小説家ですね。存命中はテレビにラジオに引っ張り凧のセレブリティだったようです。小説を読んで傾倒している人が、あの風貌と、それからあの声を聞いたら、さぞかし驚かれるのではないでしょうか。

大の大人が嬉々として遊んでいるのを見て楽しむ映画です。
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