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細雪 ささめゆきのkazu1961のレビュー・感想・評価

細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)
3.8
▪️Title : 「細雪 ささめゆき(1983)」
Original Title :※※※
▪️Release Date:1983/05/21
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-142 再鑑賞
▪️My Review
今年は花見にいけないので、花見と言えばこの作品、美しい花と美しい四姉妹を鑑賞。
「今年は家族みんなで花見できへんなぁ」。。
“ごりょんさん”“きあんちゃん”“こいさん”当時の船場言葉にグイッと引きずり込まれます(笑)
本作は、第二次世界大戦前の時代の大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品です。
上流階級の阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が船場言葉で描かれています。
谷崎潤一郎の原作の再現性が高く、そこからイメージされるきらびやかな衣装、生活様式そして美しい風景が見事に描かれています。
上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに内包された、第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美をこれも見事に描いています。
そして、四姉妹のキャスティングの妙味も見事。
長女鶴子に岸恵子、次女幸子に佐久間良子、三女雪子に吉永小百合、四女妙子に古手川祐子、ほんとに絢爛が似合う美人たち、そしてその性格が全く違う四姉妹を巧く演じています。
そんな、蒔岡家の四姉妹はやはり四人ともにさしたる苦労を知らない、典型的なお嬢さんです。
三女の雪子が内面はかなり頑固で我がままながらも、滅多なことはでは感情をあらわにしない大人しい女性である一方で(やはり吉永小百合の寡黙な美しさは別格です)、四女の妙子は新聞沙汰になるような駈落ちをしてみたり、手に職を持つなど独立志向の女性でした。
そんな姉妹も一介のバーテンダーと結ばれる妙子。そして子爵家(子爵が元阪神の江本なのは笑えます)に嫁いでいく雪子とは、正反対の幸せを見つけるんですね(原作はこの対比がより残酷ですが、本作では美しく描かれているのが好きですね〕。
脈々と息づく、日本人の美への憧憬が封じ込められている素晴らしい原作を市川崑監督が見事な映像作品に昇華させています。

▪️Overview
三女の縁談を中心に四人姉妹のそれぞれの一年間の出来事を、四季折々の風物を絡めながら描く、谷崎潤一郎の同名小説の映画化で、脚本は市川崑と日高真也の共同執筆、監督も市川崑、撮影も同作の長谷川清がそれぞれ担当。東宝創立50周年記念映画。{参考:映画.com)

1983年キネマ旬報ベストテン日本映画2位、助演男優賞(伊丹十三)受賞。出演は、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子、伊丹十三、石坂浩二、岸惠子。
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