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ザ・タイガース ハーイ!ロンドンのodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【タイガースと藤田まこと】

タイガース映画の1本。トッポが脱退して代わりにシローが入った頃に作られたせいか、作中でもシローが「僕は新入りだから」とグチる場面があります。

『世界はボクらを待っている』と同様にタイガースの演奏シーンが盛り込まれていますが、数で言うと少なくなっていて、その分ドラマ重視になっているとは言えるでしょう。

とはいえ、筋書きは他愛もなくて、超多忙ゆえに暇がほしいと願う彼らに、悪魔である藤田まことが接近、自由な時間を与える代わりに制限時刻までに帰って来れなかったら魂をいただくという契約書にサインをさせるというもの。
最初は短時間の契約で都内に遊びに行く程度だったのが、やがて1週間の契約でロンドンへ。

悪魔役の藤田まことがなかなかいい味を出しています。晩年に『必殺』に出ていた頃に比べると、若かったなあ、と思いますね。

『世界はボクらを待っている』にもヒロインで出ていた久美かおりがここでもヒロイン。ただし、前作みたいに宇宙人のお姫様というようなおとぎ話めいた役ではありません。父がロンドンで活躍した日本人作曲家だった、という設定。でもこの映画が作られた1969年の日本人にとってはロンドンに行くのだって大変だったはずですから、その意味では一種のお姫様なのかも。

タイガースの歌、おとぎ話めいた筋書き、ロンドンでのロケと、当時としては話題性に事欠かなかった映画だったんだろうな、と見ながら感慨にふけってしまいました。
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