カラン

水の中の八月のカランのレビュー・感想・評価

水の中の八月(1995年製作の映画)
4.0
超新星が爆発して輝かしい光を発散した年、福岡の水族館のイルカのプールに少女が真っ直ぐに泡を立てて落ちていくのを高校生の男子が目撃する。少女はオリンピックの候補者だった。男子は恋に落ち、少女はプールに飛び込む。。。

前半は水。後半は石。繋ぎは月の光というエレメント系で、同じ福岡の青山真治の『EUREKA』(2000)というよりは、『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』(2005)の終末論に近い設定。本作では猛暑に水不足で石化病(「せっかびょう」みたいに発音してた)という病になると、路上でふらっと倒れる。熱中症だとやっぱりまずいのかな。(^^)

主演の美少女、小嶺麗奈は飛び込みを自分でやったらしい。こういうのが大切なんだよねー。

☆エレメントと風俗

撮影は16mm。濃いめの色調の水や空や月の光等のショットは定型的な表現で、甘めで分かりやすく仕上げていて、重層的とか象徴的とかいうのではない。高校生にそのまま馴染む感じのライトなエレメント。

福岡の祭りは熱気が伝わるダイナミックなもので、お祭りショットの中でも相当なレベルだと思う。エレメント系は甘くして、福岡の通りや建物等の風俗は熱気が漂う感じに対比しているのだろうか。月並みで一目でお腹いっぱいになるところだが、ぐっと胸に迫ってくる心象風景のように思えてきた。

☆何かが、、、

『海がきこえる』(1993)のような、沈んでしまったいつかのエモーションの喚起力が、後半の石系になると失速する。天本英世さんとか出てくるんだけどな。ラストシーンも変なんだよな、そこらの爺さんが石に横たわっていてもなあ。

数年前に元ジャニーズと一緒に大麻で飛んじゃった彼女は、作品に迷惑をかけたのだろうか?それとも逆に注目を集める恩恵をもたらしたかな?はたまた、何の影響もないという虚しい話だったのだろうか。クールな眼差しが素敵だったし、大根系だけど作品の世界について行こうとして頑張ってたけどね。

今回が2回目の視聴だが。初めての時よりも遥かに面白く感じた。後半の失速が痛い。

レンタルDVD。画質は時代を考えるとけっこう良い。シンセサイザーやマリンバかな、劇伴が良いので、ぐっと音圧を上げて視聴すると、低音が醸しだすスピリッチュアル感が高まる。

55円宅配GEO、20分の18。
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