燕鷲

水の中の八月の燕鷲のレビュー・感想・評価

水の中の八月(1995年製作の映画)
4.0
渇きと潤い。
静物の美と人間の魂。
着水の一瞬と水面に揺らめく月影の永遠。

熱く、切なく、そして優しい。叙事詩的SFという一言ではとても片付けられない。片付けたくない。
石井聰亙がタクトを振り、笠松則通のカメラがそれに応える美しい映像は絶品。石井がベルトルッチなら、笠松はストラーロだ。
エピローグと呼ぶべき部分は冗長であったが、それでも珠玉のラストシーンには涙が溢れそうになってしまった。

もう帰ってこないはずの、あの夏。降り出した雨が陽に焼けたアスファルトを濡らしていく瞬間の、あの夏の匂いがする。
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