Eyesworth

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのEyesworthのレビュー・感想・評価

4.8
【天才覆面詐欺師のスペクタクル逃走劇】

〈あらすじ〉
スティーブン・スピルバーグ監督・制作、トム・ハンクス、レオナルド・ディカプリオの豪華共演による実在の天才詐欺師フランク・アバグネイルJrの自伝『世界をだました男(邦訳)』をもとに映画化した2003年のクライム作品。
レオナルド・ディカプリオ演じる16歳のフランク・アバグネイルJrは両親の離婚を機に家出し、父にもらった残高の無い口座の小切手を用いて巧妙な信用詐欺を行う。手始めに大手航空会社のパイロットになりすまし社会的信用を手に入れたのを皮切りに、医者、弁護士とあらゆる優秀な顔を手に入れては軽やかに脱ぎ捨てる。真っ赤な嘘で塗り固められた生活は、その天才的な謀略と演技によって周囲の人間に疑われることもなく呆気ないほど上手くいく。もちろん小切手詐欺はすぐにFBIによって嗅ぎ付けられ、トム・ハンクス演じる専門の捜査官カールによって何度も窮地に追い詰められるが、それすらも鮮やかに躱し、世界を駆け巡る壮大な鬼ごっこへと発展していく…。

〈所感〉
鬼ごっこの過程で二人の間に不可思議な信頼関係が生まれる様子は、ルパン三世と銭形警部を見ているようである。年齢的にまだまだ未熟なフランクは心のどこかでカールがいつか捕まえてくれると踏んでいるのだろうし、一方でカールはフランクがまだ若いとはいえ過去の攻防から一筋縄で捕まるような相手ではないことをわかっているのだろう。
スティーブン・スピルバーグ監督の作品は間違いなくエンタメとして面白いという信頼があるのでどこを切り取っても安定して面白い。また、レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスという世代を代表する二人のハリウッドスターの狐と狸の化かし合い合戦がこの映画の肝なので、何十年も味わい尽くせるような美味み・仕組みに溢れている。何より、見終わったあともこれが実話ベースとは思えないほど全ての歯車が噛み合った脚本が素晴らしい。大いに脚色はされているのだろうが、与えられた素材で最高級の料理を提供してもらった感がある。
ターゲットを空港にて追い詰めた凄腕のトム・ハンクスだが、2年後に同監督『ターミナル』で、奇しくも立場は一転し無国籍者として空港に閉じ込められるのがまた面白い。
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