喜連川風連

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンの喜連川風連のレビュー・感想・評価

4.0
もしメンタリストDAIGOさんが逃走劇をするのであれば、こういう感じになりそう。

当初はシンプルな娯楽映画を見るテンションで見始めたが、とんでもない勘違いだった。

彼が逃走するにも単にお金が欲しいなどというものではなく「元の家族に戻りたい」「寂しい」という物語の欲求があり、全体を牽引する。

数々の危機的な状況を天才的な発想と肝っ玉で乗り越えていくが、
あまりの寂しさからクリスマスイブにFBI捜査官に電話してしまう人間としての弱さにもとても共感してしまう。

全体を彩る照明にも心奪われた。

父さんとの食事シーン
当初は明るい昼間にフランス料理を食べていたのが、ラストでは薄暗いバーでの食事シーンになっていたのが、その後の父親の運命を暗示している。
それと対比するかのように母親は淡い消え去りそうな美しさの中で、幸せそうに暮らしている。

彼の置かれた境遇と対比するかのようで、とても印象的なシーンだった。

中でも讃美歌に包まれながら、逮捕されるシーンが好き。

そして特筆するべきはFBI捜査官との奇妙な絆関係。

丸3年恐らく互いのことを考え逃走していたなかで、FBI捜査官として情が移りつつも、仕事をきっちりこなしていく。

ラストの展開には思わず声が出てしまった。

実話を元にしていることによる数々の制約の中、これだけの作品を作り上げたスタッフ各位に拍手喝采。

2回目見ました。これよくよく見ると、重要な局面で必ず女性に助けられてる映画なんですよね。女性に見捨てられた父が落ちぶれ、女性に助けられた息子が逃走を成功させていく。父性と恋愛感情が入り混じった秀作です。
喜連川風連

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